CHAPTER 1
リアルイラストの異端児!?
――リアルというジャンルでマンガを出すというのは正直、場違いな感じに思えますが。
そうですね(笑)Blanch Off代表である松井先生もよく僕に声をかけたなといつも思っています。先生、僕の作風ご存知ですよね?(笑)
僕は学生時代から「自分の好きなモノ」を描く傾向が強いタイプだった のと、イラスト専攻ではないので本来の意味でイラストを描くのが苦手でした。レモンを綺麗に描く事や美味そうに描くテクニックがないんです。だから同じ土俵で戦いたくなかったので、見せ方(アイディア)で勝負しようと。
コピックでマンガのイラストなら以前から描いていたので、そこにリアルゼミで習った手法をミックスする方法をこの頃から模索し始めました。今のアニメやマンガにあるエッジのキツい線が嫌いだったので、強い色を使うイラストより、薄い色を重ねていくリアルイラストの描き方がマッチしたのかもしれません。
――在学中はどんな作品を描いていたんですか?
オリジナルキャラクターを使った暑中見舞いと年賀状がメインでした。当時は授業の課題が多くて自分の作品にあまり時間がかけられなくていつも締め切り間際の作業でしたね。(笑)それでも何とか新しいアイディアとか、覚えたテクニックを入れようと努力はしていました。やっぱり人に見せるんだから「おおスゲー!」て言われたい願望があるんです。“何か新しいものを出そう”そういうのを考えるのってワクワクすると思うんです。
表現の方法(技法や手法)を重視される方もいると思いますが、イラストと限らず芸術の世界はいつも新しいもの(新作)と伝統的な手法(古典)との葛藤というか、時代と共に新しい表現の提案が生まれてくるものなんだと考えています。
僕は僕自身の「こういうのがイイと思う」という提案を世の中に出しているので、よく分からないものや人に伝わらないものにアート(芸術)の名を冠するのはちがうと思っています。パソコンで描いたものは容易に複製が出来るし、アニメやマンガのキャラクターなんて芸術じゃないと言う人もいますが、それでも大衆に支持をされて“ポップカルチャー”“萌え文化”というジャンルを確立するまでに至っています。マンガもアートと呼べる時代なんだと確信しています。
何を使って何を伝えているのか?(表現しているのか?)大切なのはそこだと思います。今の僕はカワイイ女の子で明るく笑える気持ちを表現したいと思っています。
――そもそも何で「2.5次元」なんですか?
写実的な顔立ちでリアルな女性を描くと何か生々しいと思ってしまうんですよね。自分の好きな女をこれでもかと見せられても見る方は困っちゃいますよね。かと言ってマンガを突き詰めていけば「マンガを描く」というのはストーリーに絵を付ける表現なので、漫画という作品が表現の方法になってしまいます。
アニメやマンガのキャラクターの良いところは描いていて自由な部分が多い。パースや骨格が変でもそれが演出として成立していれば許されるというか、見る方も寛容だと思うんです。そのアドバンテージがある分、猫耳だろうが眼の色が赤でも蒼でも文句を言われないところが魅力ですね。